「東京民家」プロジェクト 東京の木を活用した家づくり
地価の高い東京首都圏では十分な敷地も確保できず、宅地は小さくなる一方です。また土地利用の規制も厳しく、防災面や自然スペースの確保という面でも東京の家づくりは大きなハンディキャップを背負っています。東京という特殊な環境の中でも豊かで味わいのある住宅は造れないものだろうか。
そうした思いが「東京民家」プロジェクトの取り組みにつながりました。
まだ、研究途上ですが、有志の建築士さんたちの力を借りて、狭小宅地を前提に光や風を取り入れる設計法や、屋上を利用したグリーンスペースの造り方、地下水や地熱などの自然エネルギーの活用、近接する住宅との問題など、都市の抱える問題を解決しながら、潤いのある豊かな暮らしを可能とする「東京の家」づくりに挑戦しています。構造材や内装材も無垢材や自然素材を使用し、住めば住むほど味わいの深まる長寿の家づくりで、消費熱量の削減にも寄与していきたいと考えています。
地域と共存するために
「東京民家」では構造材をはじめとする木材の多くを、
地元で育った木を中心として国産材を使用しています
家づくりは古来より一番大きな地場産業として栄えてきました。それは、家を造る職人が近くにいるだけでなく、近くで手に入る材料で家づくりを行ってきたからです。近くで取れる木や土、地場産業で作られる紙や陶器などを利用しながら家を建てることが最も良いとされてきたからです。
近年では建材は工場で作られ、材木は輸入に頼り、職人まで輸入する始末です。日本には木がなくなってしまったのでしょうか?決してそうではありません。日本の山には戦後植林された木が生長し、材木として流通できるところまで来ているのです。しかし、大手商社などが大量に輸入することで、船賃を掛けても日本で取れる木より安く見せることが可能になり、日本の木が使われなくなっているのが現実です。
日本の木が使われなくなると、林業に従事する人間が少なくなり、山の手入れが満足に出来なくなります。山の手入れが出来ないと、生えている木が自然のままとなり材木としての価値がなくなってしまいます。材木として価値の無いものは使う人が居ませんので、林業が出来なくなる、と言う悪循環が始まっています。
大量に輸入する材木が日本の山を駄目にするだけであれば日本だけの問題になりますが、実際には、外国の山から大量に木を切り出すことで、海外の自然破壊につながっていることを考えなくてはいけません。海外では非常に大きな問題になっているのが現実です。日本の家で使う木材は、地場の気候風土で育った木が一番であると言われています。これは、日本の大きな特徴で、国土が南北、東西に長く、太平洋側、日本海側で気候風土が大きく違うことから考えても理にかなっていると思います。細かく言うと、山を一つ越えただけでも気候が違う位ですから、それぞれの気候風土で育った木で家を建てるのが一番良いのはお解かりでしょう。
東京首都圏で家を建てるのであれば、やはり地元の木である東京の木を使うのが一番でと考えます。巷では、輸入住宅がおしゃれだとか、構造強度は集成材が一番だとか、樹脂を固めた建材が新しいとか言われていますが、本当に気持ちの良い家を建てることと同時に、子供、孫、またその先の将来的なことも考えて家づくりを行う必要が有ると思います。「今」だけに囚われず、未来のこともちょっと考えましょう。
今、我々が出来る事は、日本の木をより多く使うことで山の手入れがきちんとできる流れを作り、山や自然を子孫に引き継ぐことではないでしょうか。東京の木を少しでも使い、山を守ることが大きくは地球の環境にちょっと協力したことになり、子供にも自慢できる家になると思いませんか。
是非、安心でき、気持ちの良い家づくりを私どもと進めましょう。